栗原なおや 市制に経営感覚を

市への10項目の意見提言 

1.財政状況について

本市の平成30年度決算からは実質単年度収支が辛うじて約3千万円の黒字を示したものの、過去4年間分での収支合計では2億7千万円以上の赤字を示しており、今後も本市の財政状況を示す実質単年度収支は赤字傾向が継続するものと思われます。それはここ数年間の市税収入が毎年約1億円程度増加しながらも、その市税増加額を遥かに凌ぐ年平均で約4億円もの扶助費等の社会保障関係費の増加が認められるもので、団塊世代が全て後期高齢者となる2025年に向けての財政状況はより一層厳さを増すと共に、この大幅な歳出増加傾向が継続するものと考えられます。

また本年策定の中期財政見通しからは、令和5年度での財政の硬直化や財源の自由度を示す経常収支比率が102.1%に達するとされ、行革効果額の全額を加味しても99.7%という極めて深刻な財政運営を迎えざるを得ないと推測されます。さらには年度間の財源調整や財政需要の為の積立金である財政調整基金も、平成30年度末に約31億円積み立てられながらも、令和5年度にはマイナス残高へと枯渇すると共に、全基金残高は約84億円から約33億円に大きく誠少する見通しです。

これまでも財政運営やその見通しについて伺うと共に、当市の将来を見据えた意見提言を繰り返してきました。中でも市債発行残高約212億円の67%以上を占める約143億円もの臨時財政対策債については、将来世代への負担軽減より強くその発行抑制を求めましたが、依然として発行限度額の全額を借入れての財政運営が継続されています。

(令和元年12月議会質問より)

 

(4年間での主な意見提言)

・実質単年度収支による赤字の公表(平成28年3月議会)

・会計方式に於ける複式簿記の採用(平成28年3月議会)

・財政健全化の為の当市独自の数値目標の設定(平成28年6月議会)

・事務事業評価への外部評価制度の導入(平成28年6月議会)

・中期財政見通しの早急な策定(平成28年12月議会)

・基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡(平成28年12月議会)

・赤字地方債の臨時財政対策債の発行抑制(平成29年9月議会)

・経常収支比率悪化の歯止め対策(平成30年3月議会)

・経常経費削減の為の職員給与のカット(平成30年3月議会)

・最優先課題を設定した市民要望に基づく予算編成(平成30年9月議会)

・義務的経費の1/4を占める人件費の削減(平成31年3月議会)

・財政調整基金への政策的な下限枠の設定(令和元年6月議会)

・公債費の増大による財政危機宣言(令和元年6月議会)

 

 

2.都市計画道路について

本市の都市計画道路は全23路線、総延長は約50kmに及ぶもので、その整備率は未だ50%程度に過ぎないと共に、未整備道路の指定後の平均経過年数は既に30年を超えています。また議会答弁での都市計画道路の全線開通に必要な年数は、区画整理事業を含めると約70年、市単独での整備実績を前提とすると約230年と推測されており、さらには過去10年間の整備実績から得られる完成までの総事業費も約370億円に達すると推測され、平成28年度までの過去10年間だけで約34億円もの事業費が都市計画道路に投入されています。

また平成28年策定の公共施設等総合管理計画からは、道路等のインフラ資産の改修などの更新費用に今後50年間で約1. 229億円が必要とされながら、過去の更新実績からは毎年約6億円もの予算不足が見込まれると共に、同じく当市の人口ビジョンからは、合計特殊出生率を現況とほぼ同様の1.46と仮定した場合に、40年後の本市の将来人口は現在の約9万4千人から約6万9千人へと大幅に減少するものと推計されます。

このように都市計画道路の全線開通には数百年の期間と数百億円もの建設費が求められると共に、財政状況の悪化に伴うインフラ更新費用の不足や将来人口の大幅な滅少見通しなど、今日の都市計画道路を取り巻く整備環境は大きく変化しています。これまでも議会質問を通して都市計画道路の見直しや凍結、さらには整備プログラムでの優先着工道路の再検討などを強く求めてきましたが、さらには市民ニーズに基づく役割や必要性の観点からも都市計画道路の見直しは急務と考えます。(令和元年12月議会質問より)

 

(4年間での主な意見提言)

・都市計画道路の早急な変更・廃止(平成28年6月議会)

・当市独自の見直し指針の策定(平成28年6月議会)

・都市計画道路の必要性の再検討(平成28年6月議会)

・優先着工順位と利用権制限の課題(平成29年12月議会)

・財政悪化や人口減少による見直しの必要性(平成29年12月議会)

・実現可能性より計画見直しは急務(平成29年12月議会)

・都市計画道路の全面的な凍結(平成30年9月議会)

・長期の利用制限による損失補償の可能性(平成30年12月議会)

・将来の財政推計と連動した時間管理の必要性(平成30年12月議会)

・費用対便益B/Cの優先度評価の再検討(平成30年12月議会)

・整備環境の変化による見直し着手の必要性(平成30年12月議会)

 

 

3.高齢者福祉について

平成29年での本市に於ける65歳以上の高齢者人口は約2万6千人を数え、市の総人口に占める高齢化率は28.3%を示すと共に、ここ数年の内には高齢化率が30%を超えるものと推測されます。このような超高齢社会の到来に対し、福祉政策に於ける喫緊の課題が高齢者福祉、とりわけ認知症高齢者や要介護高齢者に対する支援体制にある事には異論の無いものと思われます。

本市で約4,700人と推定される認知症高齢者に於いては、本人の意思の尊重や支え続ける家族への支援体制が求められると共に、約3,500人に達する要介護認定の高齢者に於いては、介護予防と共に日常生活での多くの支援体制が求められるものです。さらには核家族化に伴う介護離職や介護現場で、の高齢者への虐待などの他、独居高齢者の孤独死などへの早急な対応も求められています。

これら超高齢社会での諸問題に対処する為のシステムとして、高齢者に求められる各支援を一体的に提供できる地域包括ケアシステムの早急な構築が求められるもので、これまでの施設内完結型から自宅等を中心とした地域完結型のケアシステムへの転換が急がれています。(令和元年12月議会質問より〉

 

(4年間での主な意見提言)

・地域包括ケアシステムの早急な構築(平成29年6月議会)

・地域包括支援センターの人員及び機能強化(平成29年6月議会)

・インフォーマルサービスの提供体制と地域連携システムの構築(平成29年6月議会)

・サービス付高齢者住宅の介護事故の把握(平成29年6月議会)

・生活支援サービスの受け皿として地域資源の把握・育成(平成29年6月議会)

・認知症独居高齢者の権利擁護(平成29年6月議会)

・意思能力のない高齢者の為の市民後見人の育成(平成29年6月議会)

 

 

4.次期ごみ処理施設について

本市に於いて最もその真相究明が求められるべき市政問題として、今議会に提出された約20億円もの損害賠償請求訴訟の原因となった、次期ごみ処理施設用地での大規模な土壌汚染問題が挙げられます。この問題では土壌汚染を引き起こした最大の要因である残土条例の適用除外の決定や、民間事業者の実施する窪地埋立て工事を公共事業と判断するなど、市による極めて不可解な条例解釈や無責任な監督責任を追及すると共に、市長自身のこれら決裁に対する政治責任を問い質してきました。

この平成19年に取得された広大な市有地の土壌汚染問題では、これまでの隣接地主による残土埋立て事業の内容を精査すればする程、市の意図的とも思える条例解釈や無責任な埋立て管理体制が確認されるもので、市はなぜ土壌汚染を招いた残土埋立て事業をほぼノーチェックの監視体制としたのか、また市はなぜ数億円とも推測される残土埋立事業の利益を生じないと否定し続けるのか、さらには市と埋立て事業者との聞に本当に不都合な繋がりや癒着は無かったのかなど、多くの疑問や謎が解明されずに残されています。

さらに市は隣接地主や残土埋立業者に損害賠償請求訴訟を提起する事により、この大規模な土壌汚染の責任をこれら事業者に全面的に転嫁し、本来求められるべき市の監督責任に葦をするかのような対応を続けています。(令和元年12月議会質問より〉

 

民間の建材会社と残土埋立会社から聞き取った調査結果からは、再生砕石購入費の平均価格はl㎡当たり約1, 300円、搬入土砂手数料が同じく平均約2, 700円となるもので、7万㎡の砕石購入費が約9千100万円に対して、26万4千㎡の搬入土砂手数料は約7億1千万円と推測され、合計で約6億2千万円もの利益が残土埋立業者に発生するものと考えます。(令和元年12月議会質問より)

 

(4年間での主な意見提言)

・窪地埋め立て工事の全事業費の開示要求(平成29年12月議会)

・公共事業として極めて不適切な窪地埋め立て(平成29年12月議会)

・埋め立て残土の土壌及び水質検査の要求(平成30年3月議会)

・採石及び残土の積算根拠と搬入量の確認、(平成30年3月議会)

・埋め立て残土の全体数量及び安全性の確認(平成30年3月議会)

・残土条例での公共事業の解釈の厳格化(平成30年3月議会)

・隣接地主への用地造成工事の履行要求(平成30年9月議会)

・土壌汚染の発生原因及び責任の追及(平成31年3月議会)

・窪地埋め立て工事の事業収支の開示要求(令和元年3月議会)

・市長の土壌汚染の責任は極めて重い(令和元年3月議会)

・市長は土壌汚染の結果責任について述べるべき(令和元年3月議会)

・窪地埋め立て工事を残土条例の適用除外とした市の責任(令和元年6月議会)

・市と関埋め立て業者との関係の全面的な開示要求(令和元年6月議会)

・市長の政治責任と結果責任(令和元年6月議会)

・事業収支を訴訟の中で相手方に開示請求すべき(令和元年12月議会)

・埋め立て業者に6億円以上の利益が推測される(令和元年12月議会)

・土壌汚染により市は10億円単位の損害の可能性(令和元年12月議会)

・数億円もの民間事業者の利益行為に市が荷担(令和元年12月議会)

・市と事業者との聞に不都合な繋がりや癒着がないか(令和元年12月議会)

・市は疑惑に対して説明責任を果たすべき(令和元年12月議会)

 

 

5.貧困問題について

国の発表した統計によると平成27年度の全国の世帯数が5,600万世帯で、相対的貧困率を16%とすると約900万世帯が貧困状態にあると考えられます。そこで生活保護受給世帯が約163万世帯なので、貧困世帯に対する捕捉率は約18%と推測されます。

しかし実際には生活保護の受給には貯蓄要件や就労要件が付随する為、正確なデータは困難ながらも国では2010年の捕捉率を32.1 %と発表しています。この事から当市においても生活保護受給世帯の約2倍の数の世帯が、本来受給すべき資格がありながらも生活保護を受給していないと推測出来ます。生活保護制度は貧困状態に陥った市民にとっては最後のセーフティーネットです。正確な数値を把握する事は困難としても、生活保護世帯の捕捉率を可能な限り把握し、その数値を確実に向上させていく事が、貧困世帯での餓死や自殺などの不幸を防ぐ重要な政策目標と思われます。(平成28年9月議会より)

 

平成27年の厚生労働省の発表では、ひとり親家庭の子どもの高校進学率は93.9 %であり、全世帯の96. 5%とその差は大きくありませんが、大学への進学率となると23.9%と全世帯の進学率53. 7%の半数以下でしかありません。さらに大学進学率に専修学校等への進学率を合計した数値でもひとり親家庭では41.7 %と全世帯の70.7%に対してその差が大きく開いています。高校を卒業する世帯の約7割が大学や専門学校に進学する現在、そこでのスキルを得られなかった事を原因として非正規雇用などから貧困の連鎖に陥るケースは十分に考えられます。もし昨年の都市計画道路3・3・1号線の工事費約2億5千万円の1割でも返還不要な給付型奨学金に転換できたなら、専門学校への進学を希望するひとり親家庭の生徒10人分の2年間の学費が賄える計算となります。

将来の人的投資として投資独自の給付型奨学金制度について検討するよう要望します。

(平成28年9月議会より)

 

 

6.鹿渡南部特定土地区画整理事業について

総事業費で約41億円にも達するこの特定土地区画整理事業は、平成13年に着手されながらも約12億円の収支不足を抱え、未だ休止状態が継続しています。この事業に対して本市は組合設立の準備段階より深く関わり続け、これまでに約5億3千万円の助成金を交付すると共に、保留地の買い取りに約2億円の市税が投入されています。

この土地区画整理事業には、前述の次期ごみ処理施設用地の土壌汚染問題で市が訴訟提起した企業が深く関与しており、とりわけ組合に12億円もの負債を負わせながら約5億7千万円もの管理費を受領していた業務代行者は、次期ごみ処理施設用地の残土埋立て事業に於いても下請け業者としても施工管理を担い、大規模な土壌汚染を引き起こした疑いを持たれています。(令和元年12月議会質問より)

 

 

7.震災対応について

国の2017年全国地震予測地図では今後30年間に震度6以上の揺れに見舞われる確率として、当市に隣接する千葉市が85%と全国の県庁所在地の中で最も高い数値を示しました。今年に入り千葉市では深さ30キロを震源とするマグニチュウード7.3の直下型地震の被害想定を公表しましたが、強風下での地震の発生を想定し最大で2万3.300棟の建物が全壊、焼失すると共に、死者は1.130人に上るとの厳しい予測を立てながら、地域防災計画の見直しの基礎資料としています。県による地域防災計画の見直しが遅れている状況であろうとも、当市独自の防災計画の修正や更なる滅災対応を進めていかなければなりません。(平成29年6月議会)

 

当市では市庁舎整備基本計画を基に市庁舎本館の建替え計画が具体化に向けて動き出していますが、このようなハード面での防災対策と共にソフト面での重大な対策が、大規模地震災害時においても行政機関が適切な業務執行を行えるよう策定される業務継続計画(BCP)です。このBCPにおいては計画の策定内容も当然ながら、この計画を机上のものとせず、どのような状況下においても確実に運用できる環境を担保することが求められます。すなわちBCPの計画内容を庁内全ての課で共有し、その為の訓諌を定期的に実施すると共に、訓諌から見出だされた課題や改善すべき内容を検討しながら、常に見直しを進める事が重要と考えます。(平成29年6月議会)

 

 

8.常設型住民投票について

当市ではこれまでに千葉市との合併の是非を問う住民投票と地域交流センター建設の賛否を問う住民投票とが実施されました。地方自治法では住民投票条例の制定には有権者の1/50以上の署名と議会の同意が必要となりますが、必ずしも直接請求での署名数に現れた市民要望の高さではなく、その時々の議会での多数の判断により条例制定の可否が決定されます。今後当市では大型の予算措置を必要とする公共施設の建設が多く予定されていますが、市長や議会の多数意見と多くの市民意見とに不一致が生じていると考えた時に、住民自治に基づく市民からの異議申し立てを可能とする為には、住民発議に基づく一定割合の有効署名数に対して必ず住民投票の実施が可能となる、常設型の住民投票条例の制定が必要不可欠と考えます。(平成28年9月議会)

 

 

9.コンパクトシティー構想について

当市の将来的な人口減少と高齢化、さらにはそれに伴う財政状況の悪化などから、これまでのような広範囲で一律な行政サービスの展開は将来的には難しくなるものと想定されます。住宅だけではなく行政、商業、医療、福祉などの諸施設を都市の中心部に集約させるコンパクトシティー構想は、都市としてのサスティナピリティー(持続性)にとって大変重要な位置付けを持つものと考えます。その為には都市中心部と郊外とを結ぶネットワークとしての地域公共交通の計画と、居住施設や商業施設、医療施設や福祉施設、さらには高齢者施設などを都市の中心部に誘導出来るようなインセンティプ(誘因)を持った都市政策を計画すべきと思われ、容積率の緩和や用途地域の変更と共に、都市中心部への施設移転に対する補助金などの施策が求められます。早急にコンパクトシティーの形成に向けた都市政策を要望します。

(平成28年9月議会)

 

 

10.商業振興について

商店街の振興対策としては空き店舗対策を含めた商業環境の整備以外にも、大型店との差別化を図る為の個陪の魅力の創出や地域プランドなどの地域資源の発掘、また活性化事業を担う人的資源の育成と地域社会との連携や商業ネットワークの構築などが求められ、さらには行政からの積極的な人的、財政的支援が不可欠です。(平成29年9月議会)

 

当市の商店街活性化の為の支援メニューは非常に少なく、その補助額も決して十分なものではありません。商業振興はまちづくりの観点からも、また雇用対策や税収効果の意味からも重要な施策であり、より多くの商店街活性化に向けた支援メニューが求められます。とりわけアドバイザ一派遣などによる人的資源の育成は、単に商店の後継者不足への対応ばかりか将来の地域活性化を担う人材育成にとっても必要なメニューと考えます。(平成30年9月議会)